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に対する衝撃力を和らげ、メンテナンスコストを抑える。このように経済的に高速化を行うために車両の軽量化は不可欠である。
(3)走行抵抗の低減
低速では問題にならなかった列車の走行抵抗は、高速になるに従って無視できなくなる。140km/hでは10‰の上り勾配に等しい抵抗が加わる。このため空気抵抗の減少等走行抵抗の低減が必要である。
(4)原動機の出力増強
電気車の場合はエネルギーが外部から供給されるため、出力増強は比較的容易である。
一方ディーゼルカー等の内燃機関車両は、搭載エンジンで推進動力から冷房、照明電源等の動力、コンプレッサー等の補助動力をまかなう必要がある。この補助動力は前述のJR北海道の281系車両の場合、1両あたり100PS以上にもなり、乗客への快適性が向上するにつれて増加する傾向にある。
このような厳しい条件の中で、近年軽量高出力エンジンが開発され、高性能ディーゼルカーの出現となった。
(5)曲線通過速度の向上(振り子システム:車体傾斜システムの導入)
到達時間の短縮には最高速度の向上とともに、曲線通過速度の向上が重要である。曲線部を規定以上の高速で通過すると、カントで保証しきれない遠心力(下式のα)により著しく乗り心地を損なう。
α={V2/(R・9)}−(C/G)
α:超過遠心加速度 C:カント
g:重力加速度 R:曲線半径
V:速度 G:軌間
このため、曲線部の半径とカントに応じて車体を傾斜させて、遠心力を相殺することが有効である。車体を傾斜させるには種々の方式があるが、大きく分けると遠心力を直接利用する自然振り子方式と、遠心力を検知して別の力で車体を傾斜させる強制振り子方式がある。(表4・2−3)に世界の主な振り子車両を紹介する。

 

 

 

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